楯の川酒造について
目次
190年の歴史
天保3年(1832年)に上杉藩の家臣が庄内を訪れた際、その水質の良さに驚き、佐藤平四郎(初代蔵元)に酒造りを始めることを薦めたことをきっかけに酒母製造業を開業。そして、安政元年(1854年)に酒造業を開始。その翌年に荘内藩藩主酒井公が当家に訪れた際酒を献上したところ、大いに喜ばれ酒銘を「楯野川」とするよう命名されました。
山形県酒田市に位置する楯の川酒造は、現在までに六代続く歴史ある蔵元です。代業銘柄である日本酒「楯野川」の他、リキュール「子宝」の製造・販売を行っています。
2010年からは、製造する全ての日本酒を純米大吟醸のみに絞り、吟醸王国山形県で初の「全量純米大吟醸の蔵元」になりました。鳥海山や月山、湯殿山などの山々の恩恵によってもらたらされる良質な軟水と、庄内平野の豊かな土壌によって育てられる上質な酒米を使用して「米の旨味と甘味がありながらも、綺麗ですっきりと透明感のある美しいお酒」をつくっています。
近年の受賞歴AWARD HISTORY
平成30年 |
ワイングラスでおいしい日本酒アワード部門 最高金賞 IWC(International Wine Challenge)2018 純米吟醸酒・純米大吟醸酒の部 SILVER(銀メダル) SAKE COMPETITION 2018 純米大吟醸部門 SILVER Kura Master 2018 純米大吟醸酒の部 金賞 全米日本酒歓評会 大吟醸B部門 準グランプリ、大吟醸A部門 金賞 |
---|---|
令和元年 | ワイングラスでおいしい日本酒アワード部門 金賞 |
令和2年 | 東北農政局 東北農政局長賞 受賞 |
何故、純米大吟醸酒に
特化するのか?
高度な技術を必要とし、通常よりも時間や手間暇をかけて造る、
日本酒の最高カテゴリーである『純米大吟醸』に特化した理由は大きく2つです。
- 01.分かりやすさ
- 日本酒は原材料や精米歩合、製造方法によって「本醸造・純米、吟醸・大吟醸」等、8種類のカテゴリーに分類されますが、このカテゴリー分けが非常に複雑で、日本酒を難しく感じさせてしまう要因のひとつではないでしょうか?
そこで、私たちは『純米大吟醸』に特化することで、シンプルさを訴求し、より多くの人に気軽に日本酒を楽しんで頂きたいと考えています。
さらに、季節感や蔵の臨場感が感じられるような商品群で、様々なバリエーションの純米大吟醸をご提案しています。 - 02.品質重視
- 『純米大吟醸』に特化して製造することで、より品質の向上を目指せると考えています。他のカテゴリーが劣っているとは思いませんが、私たちは最高カテゴリーの日本酒を常に最高の品質でお届けすることを目指しています。
蔵元のコメント
綺麗で繊細で良い酒を造るためには、精米歩合のパーセンテージは低い方、より磨いた方がいい。それは、自分に言わせれば山登りと同じ感覚だ。3合目と5合目でも見える景色は全然違うし、澄んだ空気の中、下界を見おろすには高いところまで登った方が綺麗に見えて気持ちいい。それと同じ感覚なのだ。綺麗なお酒を楽しむためには、精米歩合の階段も上へ上へと、登らなくてはならない。そのように私は確信している。
六代目蔵元
原料米へのこだわり
山形県オリジナルの酒米である「出羽燦々」「美山錦」「雪女神」の他、庄内の在来品種である「亀の尾」や「惣兵衛早生」等を地元契約農家さんに栽培していただいています。
顔の見える生産者から原料米を調達することはもちろんのこと、その栽培方法も「特別栽培」か「有機栽培」以上での生産を依頼しており、米と米麹、麹菌と酵母、そして水から造る、「限りなく純粋に近い日本酒」を追求しています。
酒米の王様である「山田錦」においても兵庫県で契約栽培が開始しており、将来的には全量契約栽培米による醸造、そして全量特別栽培米以上の栽培を目指しています。
自家精米へのこだわり
精米を外部業者に依頼する酒蔵が多い中で、私たちは1990年代から自家精米を行ってきました。それは、精米を「良い酒造りの第一歩」と捉えているからです。
楯の川酒造では、契約農家さんが栽培した原料米を自社で等級検査を行い、栽培年や酒米の品種の特徴を各農家さんごとに把握しています。
そして、農家さんごとに管理して、精米を行っています。なぜなら、同じ品種の酒米であっても育った土壌が異なれば、性質が微妙に変わってくるからです。各農家さんの米の特徴を把握することで、酒造りの工程で起きうるブレを最小限に抑え、高品質の日本酒造りへと繋げています。
自家精米を続けてきたことで、独自の技術が蓄積されてきており、2017年には日本酒史上で初めての「精米歩合1%」も実現することができました。
今後も原料米の調達~自家精米~日本酒の製造まで、一貫して行うことで、更なる品質向上を目指してまいります。
仕込み蔵の紹介
酒蔵らしい木の温もりが感じられる佇まいに、細やかな品質管理ができる最新の設備を完備。
品質向上及び生産能力向上を目的として、主に高級酒のみを製造する新しい仕込蔵を建設しました。最大容量2000L程度の仕込タンクを18基配置しており、全てのタンクで緻密な温度管理ができるようになっています。
タンクの容量が大きい=タンク内で醪(もろみ)の温度差が出やすくなるのですが、新仕込蔵のタンクは比較的小容量なので、そのような問題が起きにくく、より健全で理想的な発酵環境を整備しました。 従来以上に細やかな管理を実現し、少しの変化も見逃さぬよう努めることでさらに綺麗で洗練された日本酒を生み出します。
木の温もりを残しながら、モダンな雰囲気に仕上がったこの場所で作業を行う蔵人の顔は、これまで以上に引き締まっているように感じます。
何故、磨くのか?
最低でも玄米を半分(=精米歩合50%)まで精米することで、『純米大吟醸』の規格を名乗ることができますが、楯の川酒造では、33%、28%、18%、8%、7%、1%と『純米大吟醸』のカテゴリーの中でも更に磨いた原料米を使用しています。
何故、そこまで磨くのか?
ひとつめは、米を磨けば磨くほど日本酒の雑味となる成分が少なくなり、米本来の個性を活かした酒造りをすることができるということ。ふたつめは、国内の米の消費量が落ち込む中、高精米の日本酒を造っていくことで、米の消費拡大の一助になると信じているからです。
「精米歩合だけがいいお酒の基準ではない」という声もありますが、綺麗で繊細な味わいの日本酒を製造するためには、精米歩合のパーセンテージは低ければ低いほど良いと確信しています。
なお、精米の過程で出た米ぬかは、米油や米菓などの原料として余すところなく有効活用しています。
蔵人のご紹介
頼れる現場の司令塔五十嵐 精
製造部で現場全体の指揮を担当しています。
日本酒造りでは精米から上槽までいくつも工程がありますが、それらの担当者とうまく調和を合わせ、品質、味わい共に良いものを造っていく事にとてもやりがいを感じています。
皆さまの思い出の一つに残るようなお酒を届けたいと思っております。
好きな銘柄:楯野川無我シリーズ、三十三
静かなる精米のプロ遠田 泰広
現在は主に精米業務を担当しています。
米の品種や誰が作付けしたかによって、硬さや割れやすさが違うため、日々米の状態を気にかけつつ精米作業をしています。
家族や友人と語りながら飲むもよし、一人でじっくり味わうもよし、私達が造ったお酒を様々な場面で楽しんで欲しいです。
おすすめの銘柄:清流、楯野川無我シリーズ
麹を愛する女蔵人岩井 美貴
前期では製麹を担当していました。
毎日同じ作業をしていても、麹の成長具合はその時で異なるため、常に最善な方法を判断しながら作業するのは難しくも、やりがいがありました。
お酒は楽しい時や悲しい時、さまざまな場面で飲まれると思います。
私たちが造ったお酒でより良い気分になったり、和らいでいただけたら嬉しいです。
好きな銘柄:楯野川主流、Shield亀の尾、大洋酒造 無想 心静
分析のスペシャリスト石田 裕磨
麹菌・酵母菌の発酵を確認する時、感覚と分析値を頼りにします。
「麹は栗の様な甘い香りがするかな?」
「酵母はプチプチと湧いているかな?」
分析値は感覚の裏付けとなりますので、今後も慎重に分析致します。
蔵人一人一人が発酵を見守り続けた一本。
是非、ご堪能下さい。
おすすめの銘柄:清流、Shield惣兵衛早生
楯野川 純米大吟醸一雫入魂数量限定商品
酒米の王“山田錦”を18%まで磨き上げ、「攻め」と呼ばれる搾りの最終部分だけを瓶詰めした純米大吟醸酒です。
通常、単独では使用されない「攻め」の部分ですが、「一雫入魂」は、美しさと旨さを兼ね揃えた渾身の「一雫」です。